キマイラを撃退したカミナ。その力にリーパスは目を見張る。聖楽団が発動出来なかったDX-7を、どこの者とも知れない少女が、なぜ……?
その時、カミナは騎士団に包囲される。
「おい、その子は聖楽団を助けてくれたんだ!」
憤るリーパスを無視し、大臣のガスロンはカミナを連行する。
* * *
「どうも、予定が狂ったか……?」
街外れの丘からハーマッツを見降ろし、蒼い鎧を纏った小柄な男が言う。その周囲には黒ずくめの男たち――そしてその兜の下には、牙が光っていた。
「キマイラを倒せるほどの奏者《プレイヤー》があの街にいるとはねぇ。ま、楽しみが増えたと思えばいいか」
幼ささえ残るその端正な顔立ちに、残忍な笑みが浮かんだ。
* * *
「ニホン? トーキョー? でたらめを言うな!」
大臣・ガスロンから尋問を受けるカミナ。そこへ、聖楽団の奏者《プレイヤー》がやって来て、カミナと話をしたいと申し出る。
「あなたはDX-7を操った……それがどういうことか、わかる?」
「……あのキーボードのこと?」
聖楽団のトップ奏者・アスリーンはカミナに、伝子騎機《ナイトガジェット》について語る。そして、カミナの持つ「奏者《プレイヤー》」としての潜在能力についても――
その時、カミナの鞄からなにかが飛び出る。それは、現実世界でカミナに助けられた、あの白い動物――?
「よく寝たピク~。あ、カミナ、ようこそアロルヤォーグへ」
呆気にとられるカミナとアスリーン。しかし、その白い動物――ムピクはそれを無視して、窓の外を見る。
「あんまりゆっくりしてらんないピク。ヤバいのがまた……」
と、その時、ハーマッツの街に地響きが起こった。
* * *
魔獣を引き連れ、街を襲撃する蒼い鎧の男! その手にした伝子騎機《ナイトガジェット》から、光が迸る!
「SH-101よ……砕け!」
騎士団を次々と屠っていく蒼い鎧の男。その前に、リーパスが立ちはだかる!
「EMXよ! 奔れ!」
伝子騎機《ナイトガジェット》・EMXを振るい、男に斬りかかるリーパス。しかし、その実力差に、刃も光弾も届かない。
――ドォン!
そして再び、地響き。そして――見上げるとそこには、巨大な石巨人《ストーンゴーレム》が町に迫っていた!
* * *
「……なに、あれ……!?」
窓から見はるかす石巨人の姿に戦慄するカミナとアスリーン。その時、カミナの耳に聞こえるものがあった。
「呼んでる……?」
――それは、あの伝子騎機《ナイトガジェット》が呼ぶ、声――?
「……では、一丁行きますピク!」
ムピクがその身体から、魔法を発し――入り口を吹き飛ばす!
「こっちピク! ついてくるピク!」
ムピクについて走り出すカミナ、そしてアスリーン! その行く先にあるのは――
「あのキーボードが呼んでる! わたしに弾いて欲しいって……この街を守ってほしいって!」