音楽堂型飛空挺《ワークステーション》で空に舞い上がり、アロルヤォーグの果てへと旅立ったカミナ、ムピク。
こっそり潜りこんでいたリーパスは腹を減らしたところであっさりと見つかり、あわや船を降ろされそうに。
ところが、魔法の通話機で騎士団長へと報告をすると、騎士団長はリーパスに「カミナ護衛」の任務を告げる。
「その目でしっかりと、世界を見て来い! 説教はその後だ!」
こうして、リーパスも一行に加わり、カミナたちは「西の果ての賢者」の城を目指す。
* * *
空の旅は快適だ。カミナはこの世界の生き物たちを眺め、DX-7を奏でて共に歌いながら、旅を満喫していた。
しかし――
「……あれ? 降りるの? なんで?」
「実はこの船、1日に5時間くらいしか飛べないのです」
飛行の魔力は複雑で、しかも大量の魔力を要する。音楽堂型飛空挺《ワークステーション》のような巨大な設備が必要になるが、その分負荷も大きい。
「なんでそんな面倒なもの……」
「それでも歩くよりは早いのですよ?」
そんなわけで、音楽堂型飛空挺《ワークステーション》は近くへ着陸する。
また飛べるようになるのを待つ間、カミナたちは近くの村へ買い出しに出かける。しかし――
* * *
「売れるものがないってどういうことですか?」
村は荒廃した様子で、人々の表情は暗かった。商店にいけば、売り物がないと言われる始末。
聞けば、最近この近くに棲みついた魔獣のせいで河が汚され、今年の作物が絶望的なのだという。それで、外から来たカミナたちに分ける分はない、というわけだ。
「船に戻れば、食料はあるけど……」
「そう言う問題じゃない……放ってはおけないよ、こんなの」
――そしてカミナたちは、魔獣退治に乗り出すことに――